RevPar とは
RevPAR (revenue per available room / 販売可能な客室 1 室あたりの収益) は施設の収益パフォーマンスを示す指標のひとつで、施設の収益力と客室販売力を素早くチェックすることができます。RevPAR は平均客室単価 (ADR) に販売済みの客室数 (稼働率) をかけて算出します (通貨単位にはドルを使用)。
数字が示すもの :
RevPAR は、販売済みかそうでないかに関わらず、すべての客室を考慮に入れた施設全体の収益パフォーマンスを示しています。異なる期間 (四半期や年単位など) や異なる施設 (競合施設、系列施設、マーケットなど) での比較も可能です。RevPAR から得た情報を元に料金および在庫を調整すれば、効果的に業績アップを目指すことができます。
考慮されない情報 :
RevPAR には経費が考慮されていないので、施設の収益性を調べることはできません。RevPAR で高い数字が出ても、施設運営の経費が収益を上回る場合、利益は望めません。販売可能な客室 1 室あたりの総営業利益 (GOPPAR) で施設の過去の業績を確認してください。
規模の異なる 2 件の施設を比較する場合、1 室あたりの収益を表す RevPAR を単独で利用することはおすすめしません。RevPAR の数字が低くても客室数が多ければ、施設の収益は高くなります。
RevPAR 算出方法:
稼働率 x ADR
または
総客室収益 ÷ 販売可能な客室総数
RevPAR の算出方法
RevPAR の算出方法は 2 種類
1. 客室稼働率と ADR (平均客室単価) をかけ算します
稼働率 x ADR
例えば販売可能な客室が 40 室で稼働率が 90% (36 室販売済み) 、平均客室単価が $100 の場合、RevPAR は $90 になります。
0.90 x $100 = $90
2. 客室からの総収益を客室数で割ります
総客室収益 ÷ 販売可能な客室総数
36 室を平均客室単価 $100 で販売した場合、総客室収益は $3,600 です。これを販売可能な客室総数の 40 で割ると RevPAR は $90 となります。
$3,600 ÷ 40 = $9
RevPAR の利用方法
RevPAR の算出方法が分かったら、次はそれを使って収益アップを目指しましょう。客室稼働率か客室料金のいずれかを上げれば達成できますが (ADR の向上に関係する経費が少ないことを考慮し)、料金を上げる方が収益性への影響力は大きいと考えられます。客室の稼働率を上げると、ハウスキーピングやランドリー、水道光熱費、その他の経費が増えため、収益増加分が減少してしまいます。
料金設定
RevPAR は、客室料金の水準をチェックするためにも利用できます。上の例では RevPAR は $90 でした (稼働率が 90%、平均客室単価 $100 の場合)。パフォーマンスは良好に見えますが、より詳しく調べてみましょう。
平均客室単価を $130 として、稼働率が 75% (30 室のみ販売済み) まで下がった場合マイナス効果が働くように見えますが、実際は、RevPar が $97.50 になります。総収益が上昇し、経費が下がったからです。RevPar を利用することにより料金調整が総収益に与える影響を、素早く理解することができます。
パフォーマンスを把握
どの期間についても RevPAR は算出可能なので、貴施設の収益パフォーマンスのパターンを簡単に理解するうえでも役立ちます。例えば前年比の業績が順調に上昇している場合も、毎年 7 月に減少する場合も、指標を利用すれば、収益パフォーマンスを向上させるために、どのように料金を調整するべきかが理解できるでしょう。さらに RevPAR は広く利用されている評価方法なので、貴施設が同じ地域の他の施設に対しどの程度、競争力を発揮できているかチェックすることもできます。
マーケティングプログラムの評価
RevPAR を把握し、ADR と客室稼働率のどちらを上げると成長につながるかが分かれば、貴施設が実施するマーケティングキャンペーンやプロモーションに関する意思決定も容易になります。客室稼働率の改善が目標の場合は、特定の旅行者グループに割引料金を提供する、または連泊予約なら 1 泊無料などのプロモーションの実施を検討するとよいでしょう。ADR を上げたい場合は、無料の朝食や駐車場、あるいはスパの割引など、客室に付加価値を添えるプロモーションの実施や、料金を下げずに露出度を上げることを考えてください。
他の指標と RevPAR を組み合わせて利用する方法
宿泊施設の収益パフォーマンスを評価するうえで役立つ宿泊施設に関する指標は他にもいくつかあります。RevPAR との組み合わせで利用されることが多い代表的な 3 つの指標をご紹介します。
Average Daily Rate (ADR) / 平均客室単価
ADR は販売済みの客室に対して支払われた料金の平均金額を示します。多くの施設は、効果的な価格設定とプロモーションにより、徐々に ADR を上昇させることを目指しています。ADR は RevPAR の算出に使われますが、空室の数を計算に入れないため、数字には施設の総体的な収益パフォーマンスは反映されません。
Revenue Generated Index (RGI) / 収入指数
RevPAR 指数とも呼ばれています。施設の収益シェアが、直接の競合相手と比べて適正であるか判断するために利用されます。施設と競合施設の RevPAR を比較することで、料金を上げるべきか、あるいは経費を削減するべきかについて決定する際の判断材料となります。