旅行パッケージとは
旅行パッケージとは、1 回の予約およびお支払い取引に、航空券、宿泊施設、レンタカーの 3 つの主要な旅行商品のうち 2 つ以上を含む予約のことで、通常は旅行者に同時予約割引が適用されます。
販売施策として OTA を採用している宿泊施設は、パッケージプロモーションに客室を組み込んで販売することが可能です。これにより、平均客室単価 (ADR) や販売可能な客室 1 室あたりの収益 (RevPAR) などの重要なパフォーマンス指標について、より良い結果を引き出すことができます。特定期間の事前予約を条件にする、宿泊数や宿泊期間を限定するなどして特定の市場にターゲットを絞ってパッケージを販売することも可能です。調査によるとパッケージ旅行の予約は、ホテルの単体予約よりも、予約の時期が早く、キャンセル率が低いことが分かっています。
次のようなメリットがあります。
- 収益増加
Expedia Group の調査によると、パッケージ予約の ADR は、単体の予約より平均 30% 高い数字となっています。施設にとってはかなりの料金差です。客室をパッケージに組み込んで販売することのメリットは大きいと言えます。
- パッケージ予約の ADR が高いのはなぜでしょう %3F
一般的にパッケージ割引のお得感が認識されていることが、理由の 1 つかもしれません。宿泊施設にとってはより高い料金の客室タイプを販売するアップセルのチャンスです。たとえば、パッケージの需要が高いハワイでは、パッケージ旅行者はより料金の高い客室タイプを予約することが一般的で、コートヤードビューの客室よりオーシャンビューの客室の方が好まれています。オーシャンビューの客室の ADR の方が高額ですが、割引率がコートヤードビューの客室より大きい場合、旅行者は高いカテゴリーの客室を選択する傾向にあります。
- 予約のタイミングはより早く、宿泊期間はより長く
予約から宿泊までのリードタイムで比べると、パッケージは宿泊単体よりも 2 倍早い時期に予約される傾向があります。宿泊施設にとっては、チェックインの前から滞在中にいたるまで、アップセルの可能性が増えます。人気のリゾート地であるハワイはパッケージ予約のリードタイムが最も長い (67 日間) 旅行先のひとつで、 68 日のニューヨークと僅かな差となっています。さらにパッケージ予約では多くの場合、宿泊数が 2 倍になるため運営コストを抑えることができます。旅行者が滞在先の施設で支出する機会も増加します。
- キャンセル率の軽減
最も一般的な旅行パッケージでは、客室は返金不可の航空券と組み合わされているため、キャンセル率は宿泊単体予約の半分を少し上回る程度となっています。ロンドンのフレミングス メイフェアの収益管理担当、クラウディア・トゥリツィアーニ・コロンナ氏は「当ホテルのパッケージ予約のキャンセル件数の平均は、単体予約より 50% ほど少ない傾向があります」と話しています。
- 直前割引の必要性を軽減
予約から宿泊までのリードタイムが短くなると (宿泊の 6 か月前から 30 日前で比較)、パッケージと単体予約のいずれも ADR が低下します。ただし減少の幅には大きな差があります。平均的にパッケージ予約の ADR の減少率は 18% ですが、客室単体の予約の ADR は、同じ期間にほぼ 2 倍の 34 % 減少します。販売施策としてパッケージを採用すると、より収益性の高い方法で客室を直前に販売できるという利点があります。
旅行パッケージのパフォーマンスを向上させるための 5 つの推奨事項
パッケージがもたらすメリットについて理解を深めていただいた後は、予約獲得の機会を最大限引き出すための推奨事項をご説明します。
1. マーケットを理解
一般的に、旅行パッケージは、国内外で最も人気の目的地で最高のパフォーマンスを発揮します。リゾートやビーチ、島などの目的地では、それ以外のエリアと比べてパッケージ予約の割合が高くなっています。大都市やエンターテインメントスポット、空港やコンベンションセンター周辺にある宿泊施設もパッケージの恩恵を受ける傾向にあります。
2. 旅行者がお住まいの国別パッケージを提供
お客様のお住まいの地域がわかっている場合は、パッケージを利用してその地域からの予約を増やすのも一案です。例えば、「7 泊で 20% OFF」という国外向けパッケージについて特定の国からの予約が高い割合を占めることが分かっている場合は、割引率を上げ、「7 泊で 25% OFF」などのように、そのマーケットに集中的にプロモーションを展開しましょう。
ワインポイント : 短期の国外向けパッケージについてもお忘れなく。多くのプロモーションは 7 泊以上を対象としていますが、実際には 4 ~ 5 泊の需要の方が高い傾向にあります。滞在日数が増えるごとに割引も増える段階的な施策を講じて、あらゆる宿泊数のパッケージ需要を確実に取り込みましょう。
3. パッケージの予約需要が高まる時期に注意
旅行者のお住まいの地域によって、予約の時期が大きく異なります。北米を例にあげると、カナダでは歳末、アメリカ合衆国ではブラックフライデーが、多数の旅行セールが開催され予約数が増加する期間です。ヨーロッパからは夏休みに、中国からは 10 月のゴールデンウィークに旅行をする人が急増します。パッケージは予約のリードタイムが長いことを考慮し、60 日以上のリードタイムがあるマーケットの旅行者のみにターゲットを絞ればプロモーションの費用を節約することができます。
4. 旅行者動向を把握
貴施設の主要マーケットにおける消費者の旅行行動を理解することにより、パッケージ予約から最大限の収益を得ることができます。5 つ星と 3 つ星のどちらを予約する傾向にあるでしょう %3F ビーチと市街地の宿泊施設のどちらが好まれていますか %3F お客様の目的は観光 %3F ショッピング %3F その両方かもしれません。
OTA の分析機能とアカウント管理チームのサポートをご活用になり、訴求力の高いパッケージを作成するために必要な分析データを入手してください。貴施設のマーケットがショッピング好きな富裕層の旅行者 (アジア太平洋地域の旅行者に多く見られます) に人気が高い場合は、高級ショッピング街への無料送迎サービスを含めることを検討してください。複数の見どころがあり、移動に車が必要となる地域では航空券 + 宿泊 + レンタカーのパッケージを提供するのも良いでしょう。
宿泊期間が長いパッケージ予約の多くは、事前払いです。このような予約の場合、お客様は滞在中、施設で支出する額も高い傾向にあります。レストラン、バー、スパ、イブニングアクティビティ、客室アップグレードなどがその例です。お客様の滞在前・滞在中のアップセルの機会をお見逃しなく。
5. 値下がりのタイミングがチャンス
宿泊施設の ADR と同様、航空券の平均価格 (ATPs) も出発まで 10 か月を切ると下がり始めます。通常は出発まで 2 か月から 1 か月になると最低水準となり、その後再び上昇します。宿泊施設は、航空券の料金が低い 3 か月以上前にパッケージ料金を提供することで、旅行者に値ごろ感を感じてもらえ、空室を埋めるために直前割引を提供することを回避できます。
2020 年以降、航空券の価格上昇が鈍化すると見られているので、宿泊施設にとっては航空券と宿泊施設のパッケージを割引料金で予約したいと考えている旅行者の予約を獲得するチャンスです。航空会社の価格競争が激化した場合は、客室をパッケージの一部として提供する施策を検討してください。お手頃料金の航空券を探している旅行者の目に留まる可能性が高まるからです。
ワンポイント : ターゲット層がお住まいの国の為替レートにも注意を払いましょう。貴施設所在地の通貨が貴施設が集客したい国・エリアの通貨に対して強い状態の場合、以前効果的だった割引はお客様にとって同じだけの価値をもたらさない可能性があります。逆に、ADR の成長をより感じることができます。
Expedia Group でより効果的な販売施策を立案
貴施設の販売施策として旅行パッケージをご活用いただける場合は、Expedia Group が提供している機能と分析データをお役立てください。弊社の管理画面ではお客様の出発地に関する情報やマーケットの最新料金、パフォーマンスの前年比データ、周辺の競合施設との比較など、意思決定の判断材料となる情報をご覧いただけます。効率的に対策を実施し、より多くの時間をお客様対応に費やしましょう。Expedia Group でパッケージ料金をご提供いただける場合は、この機会にご登録ください。